(続き)
晴れであることを週間予報で確認していたこの日、アトリエ移転した旧友の許へ遊びに行った。
道すがら、廃校になった母校や近隣の学校跡地の様子もカメラに収めた。
統合校へ移ってから然して時間は経っていないのだが、門扉の赤錆や、風に靡く運動場の枯草を見ていると、ここで過ごした時間が幻のように思えてくる。卒業アルバム用の写真撮影をした花壇のタイル画は、今でも辛うじて残っているようだが、一人一枚分担した嘗ての児童の何人かは、もうこの世にはいない。高校1年2年と同じクラスだった友人の一人も、昨年イタリアで亡くなっていたことを教えられた。彼のことは THE BLUE HEARTS の「チャンス」を聴くたびに、どうしているかなと考えていた。ルキノ・ヴィスコンティの映画やカトリーヌ・ドヌーヴの美しさを繰り返し語っていたのを思い出す。私とは少しばかり好みが違ってはいたけれど、美しいものが好きだった。
ぼかしをかけている最後の画像は、3年前の個展で目にして以来、心に残っている作品。オレンジ色の異形のものが二体、画面中央にいて、着衣の少女と裸形の少女が寄り添っている。学生時代か、卒業後間もない頃の作品らしく、最近の雰囲気とは明らかに違っている。不穏な美しさとでも言いたくなるような魅力が溢れている。