(続き)
相撲場を後にして植物園へ向かう道すがら、草野球に興じる年配の男性グループを目にした。誰も使っていなければ、この運動場の錆び付いたフェンスを背景にして撮影するつもりだった。チーム名も得点も入っていない暗緑色のスコアボードが何か言いたげだったのを覚えていたからだ。
しかし、2月の青空の下で走り回り、大声を上げている人たちの様子は見ているだけでも楽しかった。自分には無縁の世界であるのに、立ち交じって一緒に空を仰ぐさまを想い描いていたのは何故なのだろうか。
至る所で目にした錆の美しさ。時を経て薄汚れていくものもあれば、鮮やかな色彩になって浮かび上がるものもあるようだ。この日の彼女の衣装は、こうして見れば、青い空と赤錆に違和感なく調和している。自然な立ち姿も私の目には優しいものに感じられた。