(続き)
天王寺駅構内の、ちょっと不思議な空間。
改札からホームへ、或いはホームから改札へという人々の動線から外れているからなのだろうか。通路の両端を見ると、途切れることなく人々が行き交っているのに、この通路へ入ってくる人は殆どいない。約束の時間終了間際の暫くの間、この空間を独占したような形になった。
狭い通路に立った彼女の様子。美しい猫が、いつの間にか人間の姿に大きく変化して、こちらをじっと見ているという場面を考えた。黒のショートブーツは今回リクエストしたもの。ここまでは、それほど生かし切れていなかったのだが、この通路で漸くその役割を果たした気がする。撮影最後になって、こんな場面を撮りたかったと思うのは、家で人形を撮っている時も変わらない。ある程度、道具立てを考えていても、それを実際にどう利用するのか、明確な絵が頭に無いからなのだろう。
今回、真正面から撮影することにも拘ったのだが、一応これが最終回。出来れば、女の子が自然な様子で立っている姿を残してみたい。それは次回以降の課題かな。しかし、その機会は、どれだけ残っているのか_と改めて考え込んでしまった。