阪神今津から阪急今津へ。
今津線が昔のように西宮北口で平面交差していないことは知っていた。
が、実際に乗ってみたのは今回が初めて。
そこから階段を上り下りして、宝塚へ向かう車両へ乗り換える。
(続き)
この前に、ここへ来たのは、当時消息不明だった娘の足取りを訊ねるため。
かれこれ15年ほど前のことになる。
目的が目的であった所為か、知っているはずの建物の様子が違って見えた。
むろん新しくなっているのも分かるし、なくなっているものにも気づく。
なまじ知っている場所だと思うからなのか、よそよそしく、
テーマパークの建物のような、上っ面だけのものを感じてしまった。
今回行ってみて、やはり同じような気分になっていたが、
時計台では「関西学院の130年」という展示がなされていた。
自分の記憶よりもさらに古い時代のものに対して、
不思議な懐かしさ、安らぎを覚えた。
硝子ケースの中の赤いヘルメットを見て、
学部の入学式が中止になったことも思い出した。
時計台からもう一度よく知っている場所へ戻ってみた。
40年以上過ぎているのだから、変わっていて当たり前。
そう思って見回せば、本当にそれだけ時間が過ぎてしまったのか
分からないようなところも見えてくる。
妄想のポートレート撮影の場所として
ここはまだ私には向かないようだ。
消え難い思いや生々しい記憶があちらこちらに残っていて、
生傷とは言えないが、幻の疼痛を感じてしまう。
それでも今日行ってみて、少しばかり気持ちは軽くなっていた。