L'Étranger 1911120

たまさかの外出記録として

小さな丸いものたち

 

(続き)

騒音のない世界
flower [short]
https://soundcloud.com/baron1_3/flower

 

雨の前日(天気予報を見ていたわけではないのだが)、今週2回目の洗濯をした。

干し終わって、足元に目をやると、綿毛が綺麗な球を結んでいたのに気付く。
昼下がり、空の暗さに気付いて、洗濯物を取り込んだ。まだ降らないだろうと思いながら。西の空を眺め、また足元に目を落とした。
風に揺れている綿毛が明日はもう無いことに気付いて撮っておくことにした。

この綿毛はタンポポのものなのだろうか。見た時からタンポポの綿毛と思っていたのだが、自信はない。綿毛を作って種を飛ばすのはタンポポだけではない_ということだし、黄色い花の記憶がないからだ。
近寄って見ると、球の半分が崩れているものや、飛ばし終わって総苞部分だけになったものも。
雨が降る前に全て飛べるとは限らない。
雨に濡れそぼった綿毛は、どうなるのか。考えたことも無かった。

風に乗って遠く移動できる構造を生かしきれないまま、零れ落ちてしまった種は、もう一度同じ場所で芽吹くのだろうか。
大学は東京の学校へ行ってみたいと考えていた高校生の頃を思い出した。しかし、普段、誰もいない所では、高田渡の「銭がなけりゃ」の歌詞を大声で口ずさむ高校生だった。

雨が降る前に風に乗って山を越え、その向こうの大阪湾も、飛び越してみたくなっていた。