L'Étranger 1911120

たまさかの外出記録として

歩き疲れて

墓参りの帰途、JRの駅から私鉄の駅まで、旧知の町並みを辿った。敢えて電車を利用するなら2駅分になるが、町中の区間だから大した距離ではない。それでも今日は疲れ果ててしまった。

梅雨明け前の蒸し暑い午後。じきに雨になるという予報を仕入れていたから、どこにも寄らず、カメラも取り出さずに、ただ駅を目指した所為もあるのか。
駅ナカコンビニエンスストアハイボールと摘まみを購入。1時間に4本の電車をベンチで待つことにした。こんな飲み方をしたのは久しぶりだ。ふと在職中のことが甦った。
その日、トラブルが起こって、職場を出たのが10時近く。むろん昼食を食べたっきり。行きつけの立ち飲み屋が開いている時間ではなく、旧来の駅の売店も営業時間が過ぎていた。乗り継ぎの連絡は更に悪くなっていて、ただ待つしかない。自動販売機を探す力も無く、プラットホームのこのベンチで項垂れていた。
何年が過ぎても、辛いことばかりが思い出される。ここは何か別のこと、愉しいことを考えようと思った。
そう思って頭に浮かんだのは、清潔そうな高校生のカップルのこと。職場近くのターミナル駅で何度か目にした二人。長身の男の子が本を読みながら待っていて、そこへ女の子が走ってくるというのが、お決まりの光景だった。いつも待たされてばかりいるという感じも、待たしてごめんという感じもなく、今そこで落ち合ったような雰囲気で改札の中へ入っていく。スマートな男の子と髪の長い女の子。似合いの二人だったが、浮ついた感じはどこにもなくて、私以外の誰の眼にも留まらず、早朝の駅の景色に溶け込んでいた。
今なら、二人に声をかけて、写真を撮らせてもらうだろうか_と考えた。
昨年末、OSAKA STAION CITYで撮った写真を再掲するのだが、しかし、これを写したときの私は、もういない。何故そう感じるのか理由は分からないのだが、それでも、こんな高校生二人にもう一度巡り合ってみたいと考えたのも確かだ。
今年みたいな夏でも、幸せな日々がありますように_

飲み残したハイボールの缶を持って最後尾のドアから電車に乗った。

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