L'Étranger 1911120

たまさかの外出記録として

miscellaneous

上を向いて歩く

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SDカードに入ったままだった夏の画像を幾つか。

(続き)

jensfelger-a musical advent calendar #10
https://soundcloud.com/jens-felger/a-musical-advent-calendar-10

画像は無いのだが。
未明の街をジョギングしている。人と出会うことは滅多にない。出会うとすれば、同じ時間に同じ場所、punctual な人達ばかりだ。

 

その中に、一人、上を向いて歩いている人がいる。
初めて擦れ違ったときには髪を二つ括りにしていたので、二十歳前の人だと思った。しかし、もっと上、私の娘と同じくらい。四十前後のように見える。
背中には小さな荷物。ゆっくりした足どりで暗い坂道を歩いている。坂の途中でペットボトルの飲み物を飲んでいることも。再び歩き出す時には、飲み物を飲んでいた姿勢よりもさらに上を向き直す。頭部と首が作る角度は、それこそ90度近く。正面から見ると白い喉ばかりが目に入る。薄暗い坂道の途中で初めて見たときには少しばかり怖かった。

 

近くのコンビニエンスストアで働いているのだと思っていた。出入りするのを何度か目にしたからだ。しかし、深夜・早朝シフトの人とは思えない。稼働させたカラーコピー機の前に立っているのを見てからは、背中の荷物の中身は、深夜に描き上げた漫画の原稿かイラスト作品だと想像するようになった。私の娘は、学生時代、夜中に描き上げたイラストをカラーコピーして、短冊状にパウチ加工したものを、コミケに出品していた。そんな細々としたものが今も納戸に残っている。

 

SDカードの中には青い空が残っていた。
流れていく雲を窓辺で見上げるのが、この夏のお気に入りだった。雲の無い夕暮れの澄んだ青い空も、いつの間にか好きになっていた。

 

上を向いて歩いている人は何を見ているのだろうか。擦れ違う度に、私もそっと見上げてみる。低く垂れこめた曇り空のときもあれば、星が微かに見える未明の空であることも。特別なものが無くても、ただ上を向いて歩きたいだけ_なのだろうか。

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