厭世厭人の思いに胸が塞がる。
薄暗くなった空を見上げていた。
(続き)
めっきり酒に弱くなってしまったが、夕方ふらっと角打ちに入っていた頃を思い出す。 帰宅前の30〜40分。一日溜め込んでいた不快な思いは、声の無いテレビとコップ一杯の酒で或る程度鎮めることが出来ていた。 しかし、そんな世界はもう存在しない。残り少なくなった時間を悲しい気持ちで過ごすより、笑って過ごしたいと誰しも思うだろう。何故か何処を見ても、不幸ばかりが目立っている。
ホトトギスはテッペンカケタカ。
ヒグラシはカナカナ。
そんな擬音語が先に入っているから、蜩の声を文字変換してしまう。しかし、当たり前だが、聞けば聞くほど、そんなふうには鳴いていない。近くの鳴き声と遠くから聞こえてくる声も、どこか違っている。
文字に出来ない音が次から次に寄せてくる様は潮騒に似ている。昔、宿坊で耳にした早朝の真言の響きもそうだった。
詰まらぬ思いで塞がっていた胸の内を文字にならない音が代わりに満たしていく。
何度でも繰り返し鳴り響いて、遠い空の下の、誰かにも届くといい。
夕暮れの空。流れる雲を見上げていた。
最後にスライドを。
AShamaluevMusic
Loneliness
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