万博記念公園へ行ったら、やっぱりこれ。
すごいなぁと思うしかない。
(続き)
いつぐらいからなのか、
ここへ来て太陽の塔を見るたびに
加川良の歌「ONE」の歌詞を思い出す。
この塔の由来や歴史には、時代的に全く関係ないものなのだが、
遠い町で暮らしてきた
あなたの声ともして
というところや、
星はいいなあ ただ空にある
というところ。
大屋根の撤去されたお祭り広場に立ち尽くしている塔の姿が、
加川良のあの声、あのアクの強い節回しと一緒になって、涙に滲む。
民族学博物館を出た後、
架空のポートレート、ロケーションハンティングをしていても、
視界のどこかで
ずっと意識して、追いかけている。
昔、万博自由見学の行程を話し合ったとき、
計画に入れるかどうか迷ったのに、
(計画に入れても入れなくても、入館は難しかったのだが)
この塔の内部へ入ってみることは考えもしなかった。
最後の集合場所なのだから
行かなくてもよいというのが多数意見になった。
こんなオモチャみたいなもん
そう言いながら見ていた公式パンフレットの写真は、
太陽の塔もパビリオンも
すべてがモノクロの小さな建築模型だった。
当日も、会場のどこからでも見えたはずなのに、
様々なパビリオンの奇観にただ目を奪われていたからなのだろうか。
帰る間際の集合点呼で初めて、この塔の下へ来て、
見上げた感覚は一生忘れない。
周りの音が消えてしまった気がした。
そこから生まれた作者岡本太郎への畏敬の思いは、
彼の奇行がどんなにテレビであげつらわれても
揺らぐことはなかった。
夕暮れの中、西日に輝く塔をもう一度振り返った。
ぼくもわたしも太陽も いまここにある
加川良の言葉と共に。
美しい人の幻のポートレートがまた増えていく。