L'Étranger 1911120

たまさかの外出記録として

Dark cherry blossoms

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暗い桜の花を。

(続き)

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Amazonで購入した写真集。
高田渡の視線の先に-写真(もどき)-1972-1979-」

大量のモノクローム画像を眺めていたら、撮った後フォルダーに入れっぱなしだった暗い桜のシリーズを思い出した。
映画「海街diary」のワンシーンに憧れてカメラを向けたものだったが…。映画の題名をここに記すのも烏滸がましい。
抜歯して、酒を飲むことを一日禁止された夕暮れの撮影。血の味がいつまでも続いていた。

歩きながら、先日来、心に蟠っていた言葉を思い返す。
マスク会食にご協力ください。
昼下がりの大阪梅田の地下街。行きつけの串カツ店。立ち飲みのカウンターは私一人。
マスク「会食」という意味が分からない。一人客は、どんな作法になるのか_よほど訊ねてみようかとさえ思ったのだが、どうせマニュアルどおりの声掛け。黙って頷いた。
飲みながら、ひょっとして私は誰かを連れて入ったのかもしれないと考えていた。私には見えていない連れの客。コップ酒を口に含んで、何度か肩ごしに振り返ってみた。一体、誰なのか。

頭に浮かんだのは父の顔だった。
酒癖の悪い父と一緒に飲み屋へ行ったことは無い。
亡くなる4~5年ほど前、酔い潰れて三宮の派出所に保護されているのを迎えに行ったことはある。夜中の2時を過ぎていた。何故息子を呼んだのかと息巻いていた父を今から飲みに行こうと騙してタクシーに乗せた。お前に知っている店があるのかと言われたが、タクシーの中では大人しくなって、眠っていた。

次に停まったのが、家の前だと分かった時、なんだ、家か…と呟いた声を思い出す。
今からタクシーで帰って、2時間ほど寝たら、起きて仕事へ行く。また今度。
そう言って別れたのだが、その約束は、その場だけのものに過ぎないことを、私も父も分かっていた。
美しい桜の写真を撮りたいと思っても、私には手が届かない。
どうしても不穏な影を見てしまう。
懐かしいミュージシャンたちの、若い頃を見たくて買った写真集だったが、モノクロームの古い町並みの画像に、ただただ心を奪われてしまった。
今の私よりも随分若くして亡くなったものだと撮影者略歴を見て改めて思った。

Memory Recordings
Danilo Fallacara - Ambrosia
https://soundcloud.com/user-268162856/danilo-fallacara-ambrosia

スライド中の書影及びモノクロームのページ写真は
写真集「高田渡の視線の先に-写真擬-1972-1979-」Rittor Music による