(続き)
ヤンマースタジアム長居(長居陸上競技場)の周りをぐるりと巡って植物園へ向かう。
途中、嘗ての第二陸上競技場(現ヤンマーフィールド長居)に差し掛かる。中が覗ける場所で「広い!」という声がした。誰もいないスタンド席で撮影してみたい_そう伝えると「いいですね」との応え。
今は入れないのかな…。
不法侵入…ですね。
そんな遣り取りをした。
私が撮りたいのは、寒風吹きすさぶ試合後のスタンド席。関西学生リーグ最終戦の、さっきまでの人出が嘘のようなスタンドの上からフィールドを茫然と見下ろしていたい。
しかし、スポーツへの思いは若い時のままではないことに気づく。寒々とした環境で何枚ものシャッターを切ることが今の私にできるのかどうか。それも怪しい。
錆付いたフェンスの向こうの相撲場を見詰める彼女の眼は美しかった。